【JH315】江戸幕府(幕政担当者)の農民観
■原典
・昇平夜話
・西域物語
・本佐録
■史料
①昇平夜話
百姓は飢寒に困窮せぬ程に養ふべし。豊なるに過れば(1)、農事を厭ひ、業を易る者多し、困窮すれば離散す。東照宮(2)上意に、郷村の百姓共は死なぬ様に、生きぬ様にと合点致し、収納申し付様にとの上意は、毎年御代官衆、支配所へ御暇賜る節、仰出されしと云へり。…
②西域物語
…神尾氏(3)が曰く、胡麻の油と百姓は、絞れば絞るほど出るものなりといへり。…
③本佐録
百姓は天下の根本也。是を治むるに法有り。先づ一人一人の田地の境目を能く立て、扨一年の入用作食をつもらせ、其の余を年貢に収むべし。百姓は財の余らぬ様に不足なき様に、治むる事道なり。毎年立毛の上を以て納むる事、古の聖人の法也。…
■注釈
(1)「生活が楽になると」の意。 (2)家康のこと。 (3)享保の改革の時代に勘定奉行であった神尾晴央のこと。
■現代語訳
①昇平夜話
百姓は飢えや寒さに困らない程度に養うべきである。生活が楽になると、農作業を嫌がり、仕事を変える者が増え、困窮すると土地を離れてしまう。家康公がお考えの「農村の百姓たちは、死なないように、余裕を持って生きないようにと心得て…」…。
②西域物語
勘定奉行の神尾氏は「ごまの油と百姓は、絞れば絞るほど出るものだ」と言った。
③本佐録
※略