2021.12.08

【JH315】江戸幕府(幕政担当者)の農民観

■原典

・昇平夜話

・西域物語

・本佐録




■史料

①昇平夜話

 百姓は飢寒に困窮せぬ程に養ふべし。豊なるに過れば(1)、農事を厭ひ、業を易る者多し、困窮すれば離散す。東照宮(2)上意に、郷村の百姓共は死なぬ様に、生きぬ様にと合点致し、収納申し付様にとの上意は、毎年御代官衆、支配所へ御暇賜る節、仰出されしと云へり。…

 

②西域物語

 …神尾氏(3)が曰く、胡麻の油と百姓は、絞れば絞るほど出るものなりといへり。… 

 

③本佐録

 百姓は天下の根本也。是を治むるに法有り。先づ一人一人の田地の境目を能く立て、扨一年の入用作食をつもらせ、其の余を年貢に収むべし。百姓は財の余らぬ様に不足なき様に、治むる事道なり。毎年立毛の上を以て納むる事、古の聖人の法也。…

 




■注釈

(1)「生活が楽になると」の意。  (2)家康のこと。  (3)享保の改革の時代に勘定奉行であった神尾晴央のこと。

 




■現代語訳

①昇平夜話

 百姓は飢えや寒さに困らない程度に養うべきである。生活が楽になると、農作業を嫌がり、仕事を変える者が増え、困窮すると土地を離れてしまう。家康公がお考えの「農村の百姓たちは、死なないように、余裕を持って生きないようにと心得て…」…。

 

②西域物語

 勘定奉行の神尾氏は「ごまの油と百姓は、絞れば絞るほど出るものだ」と言った。

 

③本佐録

 ※略




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