2021.12.08

【JH311】禁中並公家諸法度

■原典

・徳川禁令考




■史料

一、天子御芸能の事、第一御学問也。…

一、摂家(1)たりと雖も、其の器用(2)無き者、三公(3)摂関に任ぜらるべからず。況んや其の外をや。

一、武家の官位は公家当官(4)の外たるべき事。

一、改元は漢朝の年号の内、吉例を以て相定むべし。…

一、紫衣(5)の寺は住持職、先規希有の事(6)也。近年猥に勅許の事、…甚だ然るべからず。…向後においては、其の器用を撰び、…申し沙汰有るべき事。….

 

 慶長廿年乙卯七月 日




■注釈

(1)摂政・関白に就任する家柄のこと。  (2)「才能」の意。  (3)太政大臣、左大臣、右大臣のこと。  (4)「その官位の者がいても叙任できる」の意。 (5)最高位の僧衣をさす。勅許がなければ着用できないもの。  (6)「先例があまりない」の意。




■現代語訳

 一、天皇のなされる諸芸能は、第一に学問である。…

 一、摂関になられる家柄の者であっても、それだけの能力が備わっていない者には三公や摂関に任じてはならない。ましてやその他の職も同様である。

 一、武家に与える官位は、公家の定員以外のとりあつかいをすべきこととする。

 一、改元は漢朝が用いたもののうち、良い例を採用すること。…

 一、紫衣を勅許される高位の僧侶が住職となる寺は、以前はほとんどいなかった。ところが、最近ではみだりに勅許されている。…はなはだけしからぬことである。今後は、才能のある立派な人を撰び、…勅許されるべきである。…

 慶長廿(1615)年乙卯七月 日




 

← 前の投稿に戻る

   

   

次の投稿に進む →

   

   

>> 一覧に戻る <<