【JH303】楽市令(楽市・楽座令)
■原典
・近江八幡市共有文書
■史料
定 安土山下町中(1)
一、当所中楽市(2)として仰せ付けらるるの上は、諸座・諸役・諸公事等、ことごとく免許の事。
一、往還の商人、上海道(3)はこれを相留め、上下とも当町に至り寄宿すべし。…
一、伝馬免許(4)の事。
一、分国中徳政これを行ふといえども、当所中免除の事。
一、喧嘩・口論、ならびに国質・所質・押買・押売・宿の押借以下一切停止の事。
■注釈
(1)城下町のこと。 (2)市座(販売座席)を廃止して、自由に商業活動をさせること。 (3)のちの中山道のことで、安土は通らない街道である。 (4)軍需物資の輸送や家臣の往来に対して馬や労役を提供すること。
■現代語訳
1577年、安土城下町に対して定める
一、安土の城下町は楽市と命じられたため、諸座の規則や座の雑税など、諸々の賦課などはことごとく(すべて)免除する。
一、商人は上街道を通行せず、上りも下りも安土城下町に宿泊すること。
一、伝馬役は免除する。
一、領国内に徳政令を出したとしても、安土の城下町は免除とする。
一、喧嘩・口論は禁止とする。また、国質、所質という財産没収行為も禁止する。押し売り、押し買い、宿を無理矢理に借りるというような不当行為も一切を禁止する。