【JH222】播磨の土一揆
■原典
・薩戒記
■史料
或る人いわく、播磨国の土民、旧冬の京辺の如く(1)蜂起し、国中の侍を悉く攻むるの間、諸庄園代官(2)、加之守護方軍兵、彼等のために或いは命を失い、或は追落さる。一国の騒動稀代の非法なりと云々。およそ土民の申すところは、侍をして国中にあらしむべからずと云々。乱世の至なり。よつて赤松入道(3)発向しおわんぬ者(てえり)。
■注釈
(1)正長の徳政一揆のこと。 (2)国内の荘園代官のこと。 (3)播磨国守護赤松満祐のこと。
■現代語訳(口語訳)
ある人が言うには、「播磨国の土民が、昨冬に起きた正長の徳政一揆のように蜂起した。彼らは国中のすべての侍を攻めたので、荘園代官や守護の軍は命を失ったり、国から追われたりした。一国の騒動としては稀代の非法である」とのことだ。土民がいうには、「侍は国にあってはならない」とのことだ。まさに乱世の至りである。これを受けて播磨国守護の赤松満祐が蜂起の鎮圧に向かったという。