【JH441】ポーツマス条約 (日露講和条約)
■原典
・日本外交年表竝主要文書
■史料
第二条
露西亜帝国政府ハ、日本国ガ韓国ニ於テ政事上、軍事上及ビ経済上ノ卓絶ナル利益ヲ有スルコトヲ承認シ、日本帝国政府ガ韓国ニ於テ必要ト認ムル指導、保護及ビ監理ノ措置ヲ執ルニ方リ、之ヲ阻礙シ(1)又ハ之ニ干渉セザルコトヲ約ス。…
第五条
露西亜帝国政府ハ、清国政府ノ承諾ヲ以テ、旅順口、大連並ビニ其ノ附近ノ領土及ビ領水(2)ノ租借権(3)及ビ該租借権ニ関連シ又ハ其ノ一部ヲ組成スル一切ノ権利、特権及ビ譲与ヲ日本帝国政府ニ移転譲渡ス。…
第六条
露西亜帝国政府ハ、長春(寛城子)旅順口間ノ鉄道(4)、及ビ其ノ一切ノ支線、並ビニ同地方ニ於テ之ニ附属スル一切ノ権利、特権及ビ財産、及ビ同地方ニ於テ該鉄道ニ属シ、又ハ其ノ利益ノタメニ経営セラルル一切ノ炭坑ヲ、補償ヲ受クルコトナク、且ツ清国政府ノ承諾ヲ以テ、日本帝国政府ニ移転譲渡スベキコトヲ約ス。…
第九条
露西亜帝国政府ハ、薩哈嗹島(5)南部及ビ其ノ附近ニ於ケル一切ノ島嶼、並ビニ該地方ニ於ケル一切ノ公共営造物、及ビ財産ヲ完全ナル主権トトモニ永遠日本帝国政府ニ譲与ス。其ノ譲与地域ノ北方境界ハ北緯五十度ト定ム。…
第十一条
露西亜国ハ、日本海・「オコーツク」海及ビ「ベーリング」海ニ瀕スル露西亜国領地ノ沿岸ニ於ケル漁業権ヲ、日本国臣民ニ許与セムガタメ、日本国ト協定ヲナスベキコトヲ約ス。…
■注釈
(1)「邪魔をする」の意。 (2)領海のことで、陸地より三海里(5.556キロメートル)にあたる。 (3)他国の主権(統治権)を借り受けること。 (4)のちの南満州鉄道のこと。 (5)樺太島のこと。
■現代語訳
第二条
ロシアは日本が韓国において政治・軍事・経済上に利益をもつことを承認し、日本が韓国で必要と認める指導・保護・監督管理の措置をとることを妨害または干渉しない。…
第五条
ロシアは清国の了解により旅順港・大連・その付近の領土と領海の租借権、そして租借権に関連し、またはその一部をなすすべての権利・特権・譲与を日本に譲渡する。…
第六条
ロシアは長春と旅順港間の鉄道、そのすべての支線と付属のすべての権利・特権・財産などを日本に譲渡する。…
第九条
ロシアは樺太南部と付近のすべての島々、そしてその地方のすべての公共建造物、財産を完全な主権ともに日本に譲与する。譲与地域の北方境界は北緯五十度とする。 …
第十一条
ロシアは日本海・オホーツク海およびベーリング海に接するロシア国領地の沿岸における漁業権を、日本国民に認めさせるために日本国と協定を結ぶことを約束すること。…