【JH331】貨幣経済の浸透
■原典
・政談
■史料
昔ハ在々(1)ニ殊ノ外銭払底(2)ニテ、一切ノ物ヲ銭ニテハ買ハズ、皆米麦ニテ買タル事、某、田舎(3)ニテ覚タルコト也。
近年ノ様子ヲ聞合スルニ、元禄ノ此ヨリ田舎ヘモ銭行渡テ、銭ニテ物ヲ買フ事ニナリタリ。
■注釈
(1)「村々」の意。 (2)「貨幣が流通していない」の意。 (3)荻生徂徠が育った上総の本納村を指す。
■現代語訳
昔は農村で貨幣が非常に不足しており、貨幣で買い物をすることはなく、米や麦との交換で品物を入手していたことを覚えている。
近年の様子を聞いてみると、元禄の頃から、貨幣が農村にも行き渡り、貨幣で物品を買うようになっているということである。