2024.05.21

【JH328】相対済し令

■原典

・御触書寛保集成




■史料

 

 一、近年金銀出入(1)段々多く成り、評定所(2)寄り合いの節も此の儀を専ら取扱ひ、公事訴訟は末に罷り成(3)、評定の本旨を失い候。借金銀・買懸り(4)等の儀は、人々相対(5)の上の事に候へば、自今は三奉行(6)所にて済口(7)の取扱い致す間敷候。….

 

 一、只今迄奉行所にて取上げ、日切に申しつけ(8)、段々済寄り候金銀の出入も、向後罷出で間敷由申し付くべく候事。




■注釈

(1)金銀貸借の訴訟のこと。  (2)訴訟を裁決する最高機関のこと。  (3)「一般の訴訟取扱が疎かになる」の意。  (4)「ツケで購入する」の意。  (5)「当事者相互の話し合い」の意。  (6)寺社奉行・勘定奉行・江戸町奉行のこと。  (7)「裁決」の意。  (8)「日限を限って貸借決済をするよう命じる」の意。

 




■現代語訳

 一、近年、金銀貸借に関する訴訟が次第に多くなり、評定所で会合の時もこのことをもっぱら扱い、一般の訴訟が疎かになり、評定所本来の趣旨を失ってしまっている。そこで、借金銀・売掛け・買掛けなど取引上の問題は、当事者相互で話し合いすることによって解決すべきことであるので、今後は三奉行所においては金銀訴訟は取り扱わないこととする。

 

一、現在まで奉行所で取り上げ、日限を限って裁決をしてきた金銀貸借の訴訟についても、今後は訴えでないように申しつけるようにする。




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