【JH312】農村への法令
■原典
・御当家令条
■史料
一、祭礼・仏事等結構(1)に仕る間敷事。
一、男女衣類の事、此以前より御法度の如く、庄屋は絹・紬(つむぎ)・布・木綿(2)を着すべし、わき百姓(3)はもめんたるべし、右の外はえり帯等にも仕る間敷事。
一、嫁とりなどに乗物無用の事。
一、似合ざる家作(4)自今以後仕る間敷事。
一、御料(5)・私領共に、本田畑(6)にたばこ作らざる様に申し付くべきこと。
一、荷鞍に毛氈(7)をかけ、乗り申す間敷事。
一、来週より在々所々において、地頭、代官(8)木苗を植え置き、林を仕立候様に申し付くべき事。
寛永十九年午五月廿四日
■注釈
(1)「立派に」の意。 (2)生糸、真綿、麻、木綿の各種織物のこと。紬とは真綿を紡いだ絹糸の織物を指す。 (3)一般の百姓のこと。 (4)家の作り・仕様のこと。 (5)幕領、旗本の知行地を指す。 (6)検知台帳に記載のある田畑のこと。 (7)獣毛で作られた敷物のこと。 (8)知行地を持つ旗本を指す。
■現代語訳
一、祭礼や法事は質素にとり行うこと。
一、庄屋は絹織物・麻織物・綿織物を着用しても良いが、一般の百姓は麻織物・綿織物を着用せよ。それ以外は着物の襟や帯にも帯にも使用してはならない。
一、嫁入りに乗り物は不要である。
一、身分不相応な家の作りにはしないこと。
一、幕領・旗本知行地に、たばこを栽培してはならない。
一、荷鞍に毛氈を敷いて乗ってはならない。
一、知行地を持つ旗本や代官は、村々に木を植え、林を造成すること。