2021.12.08

【JH305】太閤検地

■原典

・浅野家文書




■史料

 一、其の許(1)検地の儀、一昨日仰せ出され候如く、斗代(2)等の儀は御朱印(3)の旨に任せて、何も所々(4)、いかにも念を入れ申し付くべく候。もしそさう(粗相)二仕り候ハバ各越度(5)たるべく候事。…(中略)…。

 

 一、仰せ出され候趣、国人(6)併びに百姓共ニ合点行き候様ニ、能能申し聞かすべく候。自然(7)相届かざる(8)覚悟の輩これあるに於ては城主にて侯ハバ、其のもの城へ追ひ入れ、各相談、一人も残し置かず、なでぎりニ申し付くべく候。百姓以下ニ至るまで相届かざるニ付てハ、一郷も二郷もことごとくなでぎり仕るべく候。六十余州堅く仰せ付けられ、出羽・奥州 迄そさう(粗相)ニハさせらる間敷候。たとへ亡所(9)ニ成り候ても苦しからず候間、其の意を得べく候(10)。山のおく、海ハろかいのつづき候迄 、念を入るべき事専一に候。自然各退屈する(11)に於ては、関白殿御自身御座成され候ても、仰せ付けらるべく候。急と此返事然るべく候也。

 八月十二日 (秀吉朱印)

       浅野弾正少弼どのへ

 




■注釈

(1)「その方の場所」、ここでは奥州を指す。  (2)一段あたりの公定収穫高のこと。  (3)秀吉の命令を伝えた朱印状のこと。  (4)「どこでも」  (5)過失  (6)地域の領主のこと  (7)「もしも」  (8)「承服しない」  (9)耕作者のいない荒れた土地のこと。  (10)「そのつもりでやるように」  (11)「怠けること」

 




■現代語訳

 一、その方の検地のことについては、一昨日、仰せ出されたように、斗代などのことは秀吉の名を伝えた朱印状の趣旨にそって、どこでも十分に念を入れて申しつけるようにすること。もし粗相に扱うとお前たちの過失とする。…(中略)…。

 

 一、検地について申し渡した事がらの趣旨を黒人や百姓たちに納得のゆくように、よく申し聞かすべきである。もしもこれに不服従の者がいた場合には、その者が城主であれば、これを城に追い詰め、奉行らが相談の上で一人残らずなで切りにせよ。また、百姓以下の者までこれに従わぬ場合は、一郷でも二郷でもことごとくなで切りにせよ。日本全土六十余州に固く命令したからには、出羽・欧州も例外ではなくいい加減にするわけにはいかない。たとえ亡所となってしまっても良いから、その旨を十分承知せよ。山の奥まで、海は櫓櫂のおよぶ所まで念を入れて施行せよ。もし、その方どもが怠けるようなことがあれば、関白秀吉どのご自身が出かけられて命令されるだろう。必ずこの手紙の返事をしなさい。

 1590年(天正18年)8月12日

    浅野弾正少弼とのへ

 




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