【JH221】正長の徳政一揆
■原典
・大乗院日記目録
■史料
(正長元年九月)
…一天下(1)の土民(2)蜂起す。徳政と号し、酒屋、土倉(3)、寺院(4)等を破却せしめ、雑物等恣に之を取り、借銭等悉く之を破る。管領(5)之を成敗す。凡そ亡国の基、之に過ぐべからず。日本開白(6)以来、土民蜂起、是れ初めなり。
■注釈
(1)近畿地方のこと。 (2)農民や都市の庶民らのこと。 (3)金融業者 (4)祠堂銭で高利貸しをしていた。 (5)管領畠山満家のこと。 (6)はじまり、開け始めの意。
■現代語訳(口語訳)
正長元(1428)年9月、天下(近畿地方)の土民が蜂起した。徳政と号して(称して)酒屋・土倉・寺院を打ちこわし、質に入っていた雑物等を奪い取り、借用証文を破いて借金を破棄してしまった。管領畠山満家がこの一揆を鎮めた。亡国の下人としてこれ以上のものはない。日本が始まって以来、これが土一揆のはじめである。