【JH220】今堀地下掟
■原典
・日吉神社文書
■史料
定 今堀(1)地下掟の事
合延徳元年己酉十一月四日
一、塩増雑事ハ、神主用意有ルヘシ。代ハ惣ヨリ出スヘク候。
一、薪・すミハ、惣ノヲタクヘシ。
一、惣ヨリ屋敷請(2)候て、村人ニテ無キ物置クヘカラサル候事。
一、他所の人を地下ニ請人(3)候ハて、置クヘカラス候事。
一、惣ノ地ト私ノサイメ(際目)相論ハ金ニテすますへし。
一、惣森(4)ニテ青木ハ葉かきたる物ハ、村人ハ村を落ス(5)ヘシ。村人ニテ無キ物ハ地下ヲハラウヘシ。
一、家売タル人ノ方ヨリ、百文ニハ三文ツツ、壱貫文ニハ卅文ツツ、惣ヘ出スヘキ者也。此の旨ヲ背ク村人ハ、座(6)ヲヌクヘキ也。…
一、家売リタ代、カクシタル人ヲハ、罰状(7)ヲスヘシ。
一、堀ヨリ東ヲハ屋敷ニスへカラス者也。
■注釈
(1)村の掟のこと。 (2)「屋敷を借りる」の意。 (3)身元の保証人のこと。 (4)村で所有する森。入会地のこと。 (5)村人の身分を剥奪すること。 (6)宮座(祭祀集団)からの除名。 (7)起請文のこと。取り決めに違反しないことを誓い合う証文。
■現代語訳(口語訳)
今堀村の村法を寄合で、1489年に決定した。
一、塩とみその準備は神主がすること。代金は村から出すこと。
一、薪と炭は村のものを使うこと。
一、村人でないものは村の屋敷を借りることはできない。
一、他所の者は村人の身元保証人がいなければ村に住むことはできない。
一、村の土地と自分の土地との境界の争いは、金銭で解決すること。
一、入会地では無断伐採や採集を院試し、違反した村人は村人の身分を奪う。村人でないものならば村から追放する。
一、家を売った者は100文につき3文、1貫文につき30文を村に出すこと。違反した村人は宮座から除名する。
一、家を売った代金を隠した者は起請文を書くこと。
一、堀の東側より外に屋敷を建ててはならない。