【JH209】地頭請所
■原典
・東大寺文書
■史料
下す茜部御庄(1)住民等
早く地頭請所(2)として御年貢を進済せしむべき事
右、当御庄は、是れ預所の沙汰たり。百疋・千両を弁じ難き(3)に依り、地頭の沙汰として、請文(4)の状に任せ、御年貢を進済せしむべき也。住民等宜しく承知し、違失(5)すべからざるの状、件の如し。故に下す。
貞応二年八月 日
別当僧正前法務在判
■注釈
(1)東大寺の荘園。現在の岐阜市茜部にあたる。 (2)地頭に年貢納入を請け負わせた土地。
(3)「徴収できない」の意。 (4)年貢請負を確実に履行することを約束した文書のこと。
(5)「間違うこと」「しくじること」の意。
■現代語訳(口語訳)
下す 茜部庄の住民ら
地頭請けの荘園として、早く年貢を納めること。
この茜部庄は預所の管理であったが、、預所では絹100疋・綿1000両を徴収できないので、今後は地頭の管理により請文の通りに年貢を納めるようにせよ。住民らに承知させ、間違いのないようにすること。