【JH202】寿永二年十月宣旨
■原典
・玉葉
■史料
(寿永二年閏十月十三日)東海・東山・北陸三道の庄園国領(1)、本の如く領知(2)すべきの由、宣下せらるべきの旨、頼朝申し請う。仍て宣旨(3)を下さるるの処、北陸道許り義仲を恐るるに依り、其の宣旨を成されず。
(寿永二年閏十月二十二日)先日の宣旨に云く、東海・東山道等の庄土、服せざらなる輩あらば、頼朝に触れ沙汰を致すべしと云々。
■注釈
(1)「公領」のこと。 (2)「本家や領家、国司が押領された土地を以前の形で支配する」こと。
(3)天皇の命令を伝える文書のこと。
■現代語訳(口語訳)
東海・東山・北陸道の荘園や公領を、以前と同じように支配させよと命令していただきたいと頼朝が申し入れてきた。よって、宣旨を下されたが、義仲を恐れて北陸道だけは宣旨に加えなかった。
先日の宣旨によると、東海・東山道の荘園・公領で宣旨に従わない者がいれば頼朝に命令によって追討させよということだ。