【JH126】尾張国郡司百姓等解(尾張国解文)
■原典
・平安遺文
■史料
尾張国郡司百姓等解(1)し申す官裁を請ふの事
裁断せられんことを請ふ、当国の守藤原朝臣元命、三箇年内に責め取る非法の官物、幷びに濫行横法卅一箇条の愁状(2)。
一、裁断せられんことを請ふ。例挙(3)の外に三箇年内に収納せる加徴の正税四十三万千二百四十八束の息利十二万九千三百七十四束四把一分の事…
一、裁定せられんことを請ふ、守元命朝臣、庁務なきに依りて(4)、郡司・百姓の愁ひを通じ難きの事…
一、裁断せられんことを請ふ、守元命朝臣、京より下向するに、毎度有官(5)・散位(6)の従類、同じく不善の輩を引率するの事…
■注釈
(1)上申する場合の文書を指す。 (2)不正を中央政府に訴え、審判を請うための文書のこと。
(3)定例の出拳のこと。 (4)「元命が国庁に現れないこと」の意。
(5)「官職についている者」をさす。 (6)「位のみで官位にのない者」のこと
■現代語訳(口語訳)
尾張国の郡司と百姓が太政官の採決を申請すること。
当国の守藤原元命が過去3ヵ年の間に行った非法な徴税と不法行為に関する31か条について採決をお願いします。
一、定例の出拳の他に、3年間で正税43万1248束の利息として12万9374束4把1分を徴収したことについて裁断してください。
一、国守元命が国衙で政務をとらないで、郡司や百姓の嘆願が伝わらないことについて裁断してください。
一、国守元命が、京から下向するたびに有官・散位の従者やよからぬもの等を引きつれてくることについて裁断してください。…