【JH439】平民社、幸徳秋水の日露戦争反戦論
■原典
・「平民新聞」第一四号(明治三十七(1904)年二月十四日)
■史料
戦争は遂に来れり。平和の攪乱(1)は来れり。罪悪の横行は来れり。日本の政府は曰く、其の責露国政府に在りと。露国の政府は曰く、其の責(2)日本政府に在りと。…
然れども平和攪乱より生ずる災禍に至りては、吾人(3)平民は其の全部を負担せしめらる可し。…
故に吾人は戦争既に来るの今日以後と雖も、吾人の口有り、吾人の筆有り紙有る限りは、戦争反対を絶叫すべし。…
■注釈
(1)「乱れ」の意。 (2)「その責任」の意。 (3)「私たち」の意。
■現代語訳
戦争がとうとう始まった。平和は乱れた。罪悪がまかり通るようになった。日本政府は言う、その責任はロシア政府にあると。ロシア政府は言う、その責任は日本政府にあると。…
しかし、平和が乱れたことから起こる災禍は、我々平民がその全てを負担させられる。…
ゆえに我々はすでに戦争が始まってしまった今日といえども、我々には口があり、筆があり、紙がある限り、戦争反対を叫ぼう。…