【JH338】株仲間の解散(天保の改革)
■原典
・徳川禁令考
■史料
菱垣廻船積問屋(1) 十組問屋ども
その方ども儀、是迄年年金壱万弐百両、冥加(2)上納致し来り候ところ、問屋ども不正(3)の趣ニ相聞ヘ候ニつき、以来上納ニ及ばず候。もっとも向後(4)仲間株札(5)ハもちろん、この外ともすべて問屋仲間ならびに組合などと唱ヘ候儀ハ相成らず候。
一、右についてハ、これまで右船ニ積み来り候諸品ハ勿論、すべて何国より出で候何品ニても、素人直売買(6)勝手次第たるべく候。かつまた、諸家国産(7)類その外すべて江戸表え相廻し候品々も、問屋ニ限らず、銘銘出入の者ども引き受け、売り捌き候儀もこれまた勝手次第ニ候間、その旨存ずべし。…
■注釈
(1)十組問屋のこと。 (2)営業権(営業の許可)に対して上納する税のこと。 (3)ここでは「買い占め」や「売り惜しみ」、「不当な物価の釣り上げによって不当に利益を上げること」を指す。 (4)「今後」の意。 (5)幕府公認の営業独占権を「株・株札」という。株を持つ仲間を「株仲間」という。 (6)在郷の商人が直接取り引きを行うこと。 (7)諸藩によって生産された産物のこと。
■現代語訳
(1841年)菱垣廻船積問屋の十組問屋へ
十組問屋には毎年金1万200両の冥加金を上納させてきたが、問屋たちに不正行為があるため、今度は上納の必要がない。今後は、株仲間はもちろん、問屋の仲間や組合などと称してはならない。
一、全ての商品について在郷商人は直接取引を自由に行なってよい。また、諸藩の国産品そのほか全て江戸へ廻送してきた品々も、問屋に限らずそれぞれ出入りの商人たちが引き受けて売ることも自由であるから、この趣旨をよく承知すること。