【JH304】バテレン追放令
■原典
・松浦文書
■史料
定
一、日本ハ神国たる処、きりしたん国より邪法(1)を授かるの儀、太だ以て然るべからず候事。
一、其国郡の者を近付け門徒になし、神社仏閣を打破るの由、前代未聞に候。…(中略)…。
一、伴天連(2)、其の知恵の法を以て、心ざし次第ニ檀那(3)を持ち候と思し召され候ヘバ、右の如く日域(4)の仏法を相破る事曲事(くせごと)の条、伴天連の儀、日本の地ニハおかせられ間敷候間、今日より廿日の間ニ用意仕り帰国すベく候。
一、黒船(5)の儀は商売の事に候間、各別に候の条、年月を経、諸事売買いたすべき事。
天正十五年六月十九日
■注釈
(1)キリスト教のこと。 (2)外国人宣教師のこと。由来はポルトガル語で神父を意味するパードレの当て字とされている。 (3)信仰者、信者のこと。 (4)日本のこと。 (5)ポルトガル・スペイン船のことで、船体が黒かったことに由来する。
■現代語訳
日本は神国であるから、キリスト教の布教はよくないことである。
領内の者たちを引き込んでキリスト教徒にし、寺社の破壊を行うことは前代未聞である。
宣教師はその知識を用いて信者を自由に獲得していると秀吉公はお思いになっており、右のように日本の仏教を破壊することは誤りである。宣教師の日本滞在を禁止とし、今日より20日いないの間に帰国すること。
黒船は商売のことなので別格とし、これからも様々な品物を売買すること。
1587年6月19日