【JH230】分国法 2
■原典
・甲州法度之次第(信玄家法)
・今川仮名目録
■史料
①甲州法度之次第(信玄家法)
一、国中の地頭人等子細を申さず、恣に罪科の跡と称し、私に没収せしむるの条、甚だ以て自由の至 り也。若し犯科人等晴信の被官たらば、地頭の綺有るべからず。…
一、私領の名田の外、恩地領、左右無く沽却せしむる事、之を停止し訖ぬ。…
一、喧嘩の事是非に及ばず、成敗を加ふべし(1)。但し取り懸ると雖も、堪忍せしむるの輩に於ては、罪科に処すべからず。
②今川仮名目録
一、駿遠両国(2)の輩、或わたくしとして他国よりよめを取、或ハむこに取、むすめをつかハす事、自今以後之を停止し畢ぬ。
一、不入の地の事。…旧規より守護使不入と云ふ事ハ、将軍家天下一同の御下知を以て、諸国の守護職仰せ付けらるる時の事也。守護使不入とありとて、御下知に背くべけん哉。只今ハをしなべて自分の力量を以て、国の法度を申し付け、静謐する事なれば、しゆこ(*しゆご)の手入る間敷事、かつてあるべからず。…
■注釈
(1)喧嘩両成敗法。家臣間の紛争は大名の裁定に任せることが目的とされる。 (2)駿河・遠江両国を指す。いずれも今川氏の両国である。
■現代語訳(口語訳)
①甲州法度之次第(信玄家法)
…(中略)…
一、喧嘩はその事情によらず全て処罰する。ただし、喧嘩をしかけられて、我慢かけられて、我慢した者は処分の対象とはならない。
②今川仮名目録
一、駿河・遠江両国の家臣は勝手に他国から嫁や婿を取ったり、娘を他国に嫁がせてはならない。
(以下、略)…