2021.12.10

【JH526】ポツダム宣言

■原典

・日本外交年表竝主要文書




■史料

 

一、吾等合衆国大統領(1)、中華民国政府主席(2)及ビ「グレート・ブリテン」国総理大臣(3)ハ、吾等ノ数億ノ国民ヲ代表シ、協議ノ上、日本国ニ対シ、今次ノ戦争ヲ終結スルノ機会ヲ与フルコトニ意見一致セリ。

 

六、吾等ハ無責任ナル軍国主義ガ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ、平和、安全及ビ正義ノ新秩序ガ生ジ得ザルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ、日本国国民ヲ欺瞞(4)シ、之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及ビ勢力ハ、永久ニ除去セラレザルベカラズ。

 

七、右ノ如キ新秩序ガ建設セラレ、且ツ日本国ノ戦争遂行能力ガ破砕セラレタルコトノ確証アルニ至ルマデハ、連合国ノ指定スベキ日本国領域内ノ諸地点ハ、吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スルタメ、占領セラルベシ。

 

八、「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク、又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及ビ四国並ビニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ。

 

十、吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜(5)ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人二対シテハ厳重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ。日本国政府ハ日本国民ノ間ニ於ル民主主義的傾向ノ復活ニ対スル一切ノ障礙(6)ヲ除去スベシ。言論、宗教及ビ思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ。

 

十二、前記諸目的ガ達成セラレ且ツ日本国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且ツ責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ連合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルベシ。

 

十三、吾等ハ日本国政府ガ、直ニ全日本国軍隊ノ無条件降伏ヲ宣言シ、且ツ右行動ニ於ケル同政府ノ誠意ニ付キ、適当且ツ充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ対シ要求ス。右以外ノ日本国ノ選択ハ迅速且ツ完全ナル壊滅アルノミトス。

 




■注釈

(1)アメリカ大統領トルーマンのこと。  (2)中華民国政府主席、蒋介石のこと。  (3)イギリス首相チャーチルのこと。  (4)嘘をつくこと、騙すこと。  (5)「捕虜」の意。  (6)「障害」のこと。




■現代語訳

 

一、アメリカ合衆国、中華民国主席及びイギリス首相は協議の上、日本に対して戦争を終結する機会を与えることとに意見が一致した。

 

六、軍国主義が世界からなくなるまでは、平和・安全・正義の新秩序が生まれないので、日本の軍国主義者、戦争指導者の権力や勢力は永久に除かなければならない。

 

九、日本の軍隊は完全に武装を解除され、兵士は各家庭に戻り、平和で生産的な生活を営む機会を与えられるべきである。

 

十、我らは日本人を奴隷としたり、又は滅亡させたりしようとする意図はないが、我らの捕虜を虐待しようとする者を含む、戦争犯罪人に対しては厳重な処罰を与える。日本政府は民主主義の促進をはかる。言論、宗教及び思想の自由ならびに基本的人権は尊重される。

 

十二、前に記したしょ目的が達成され、かつ日本国民の自由に表明できる意思に従って平和的傾向を有し、かつ責任ある政府が樹立されたならば連合国の占領軍は直ちに日本から撤退する。

 

十三、我らは日本政府が直ちに全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し、かつそれに伴う政府の誠意ある補償を要求する。これを受け入れない場合は、迅速かつ完全な壊滅があるのみである。




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