・「官報」
第一条
本法ニ於イテ国家総動員トハ戦時(戦争ニ準ズベキ事変(1)ノ場合ヲ含ム、以下之ニ同ジ)ニ際シ国防目的達成ノタメ、国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムルヨウ人的及ビ物的資源ヲ統制運用スルヲ謂フ。
第四条
政府ハ戦時ニ際シ、国家総動員上必要アルトキハ、勅令(2)ノ定ムル所ニ依リ、帝国臣民ヲ徴用シテ総動員業務(3)ニ従事セシムルコトヲ得。但シ兵役法ノ適用ヲ妨ゲズ。
第八条
政府ハ戦時ニ際シ、国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ、総動員物資ノ生産、修理、配給、譲渡其ノ他ノ処分、使用、消費、所持及ビ移動ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得。
第二十条
政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ、勅令ノ定ムル所ニ依リ新聞紙其ノ他ノ出版物ノ掲載ニ付制限又ハ禁止ヲ為スコトヲ得。
(1)宣戦布告のない戦争のこと。 (2)天皇の命令として議会の審議を要せず制定される立法の形式。 (3)生産・運輸・金融・衛生・教育など9種類の業務をさす。
第一条
本法で国家総動員というのは、戦時(戦争に準ずる事変の場合を含む)にあたり、国防目的の為に国の全力を最も有効に発揮するよう、人間・物資を統制し、うまく働かせるようにすることをいう。
第四条
政府は戦時にあたり国家総動員上の必要がある場合は、勅令の規定によって日本臣民を徴用し、総動員業務に従事させることができる。ただし、兵役法の方が国家総動員方に優先する。
第八条
政府は戦争にあたり、国家総動員上の必要がある場合には、勅令の規定によって総動員物資の生産・修理・配給・譲渡、その他の処分、使用・消費・所持及び移動についての必要な命令を発することができる。
第二十条
政府は戦争にあたり国家総動員上の必要がある場合には、勅令の規定によって新聞紙その他の出版物の掲載について制限または禁止の命令を出すことができる。