【JH442】日韓協約(第一次、第二次、第三次)
■原典
・日本外交年表竝主要文書
■史料
[1]第一次日韓協約
一 韓国政府ハ日本政府ノ推薦スル日本人一名ヲ財務顧問(1)トシテ韓国政府ニ傭聘(2)シ財務ニ関スル事項ハ総テ其ノ意見ヲ詢ヒ施行スベシ。
一 韓国政府ハ日本政府ノ推薦スル外国人一名ヲ外交顧問(3)トシテ外部(4)ニ傭聘シ外交ニ関スル要務ハ総テ其ノ意見ヲ詢ヒ施行スベシ。
[2] 第二次日韓協約
第一条
日本国政府ハ、在東京外務省ニ由リ今後韓国ノ外国ニ対スル関係及ビ事務ヲ監理指揮スベク、日本国ノ外交代表者及ビ領事ハ外国ニ於ケル韓国ノ臣民及ビ利益ヲ保護スベシ。
第二条
…韓国政府ハ今後日本国政府ノ仲介ニ由ラズシテ、国際的性質ヲ有スル何等ノ条約若クハ約束ヲナサザルコトヲ約ス。
第三条
日本国政府ハ其ノ代表者トシテ韓国皇帝陛下(5)ノ闕下(6)ニ一名ノ統監(レヂデントゼネラル)(7)ヲ置ク。統監ハ専ラ外交ニ関スル事項ヲ管理スルタメ京城(8)ニ駐在シ、親シク韓国皇帝陛下ニ内謁スルノ権利ヲ有ス。…
[3] 第三次日韓協約
第一条
韓国政府ハ施政改善ニ関シ、統監ノ指導ヲ受クルコト。
第二条
韓国政府ノ法令ノ制定及ビ重要ナル行政上ノ処分ハ予メ統監ノ承認ヲ経ルコト。
第四条
韓国高等官吏ノ任免ハ統監ノ同意ヲ以テ之ヲ行フコト。
覚書(不公表)
第三 左記ノ方法ニヨリテ軍備ヲ整理ス
一 陸軍一大隊ヲ存シテ皇宮守衛ノ在に当タラシメ其ノ他ハ之ヲ解隊スルコト。
■注釈
(1)大蔵省主税局長の目賀田種太郎が就任した。 (2)「頼み込んで雇う」の意。 (3)アメリカの駐日公使館顧問であるスティーブンス氏が就任した。 (4)韓国財務省のこと。 (5)第二十六代李煕をさす。 (6)「皇帝のもと」の意。 (7)漢城(現在のソウル)を指す。韓国併合により、日本は京城と改称させた。
■現代語訳
[1]第一次日韓協約
一、韓国政府は、日本政府が推薦する日本人一名を財務顧問として韓国政府に雇い入れ、財務に関する項目は全てその意見を入れて行うこと。
一、韓国政府は、日本政府の推薦する外国人一名を外交顧問として韓国財務省に雇い入れ、外交に関する重要事項は全てその意見を入れて行うこと。
[2]第二次日韓協約
第一条
日本国政府は、東京の外務省により今後韓国の外国に対する関係およびその事務を監理指揮するため、日本国外交代表者および領事は、外国における韓国の臣民およびその利益を保護しなければならない。
第二条
…韓国政府は今後日本国政府の仲介がない限り、国際的な性質を持つどのような条約や約束も締結しないことを約束する。
第三条
日本国政府は、その代表者として韓国皇帝陛下のもとに一名の統監(レヂデンントゼネラル)を置く。統監は主に外交事項を監理するため、漢城に駐在し、直接韓国皇帝陛下に会う権利を有す。
[3]第三次日韓協約
第一条
韓国政府は、施政の改善について統監の指導を受けること。
第二条
韓国政府は、法令および重要な行政上の処分は前もって統監の承認を経ること。
第四条
韓国高等官吏の任免は統監の同意を得ること。
覚書(不公表)
第三 次の方法により、軍備を整理する。
一 陸軍一大隊に皇宮の任務を担わせ、そのほかの軍隊は解散すること(韓国軍隊の解散)。