2024.11.20

【JH438】内村鑑三の非戦論

■原典

・『万朝報』(明治三十六(1903)年六月三十日)




■史料

 

 余(1)は日露非開戦論者である許りではない。戦争絶対的廃止論者である。戦争ハ人を殺すことである。爾うして人を殺すことハ大罪悪である。…

 

 若し世に大愚の極(2)と称すべきものがあれバ、それは剣を以て国連の進歩を計らんとすることである。…

 

 余の戦争廃止論が直に行はれやうとハ、余と雖も望まない。しかしながら戦争廃止論ハ、今や文明国の識者(3)の輿論となりつつある。…




■注釈

(1)「私」の意。  (2)「最も愚かなこと」の意。  (3)有識者のこと。




■現代語訳

 

私は日本とロシアの戦争開始に反対しているだけではない。戦争そのものの絶対的反対論者なのである。戦争は人を殺すことである。そうして人を殺すことは、大いなる罪であり、大いなる悪である。…

 

もし、この世に最も愚かなことの究極と呼ぶべきものがあるならば、それは武力によって国の発展をしようとすることである。…

 

 私の戦争廃止論がすぐに実現されるとは、私であっても望まない。しかしながら、戦争反対論は今や文明国の有識者の考えになりつつある。




← 前の投稿に戻る

 

   

次の投稿に進む →

   

   

>> 一覧に戻る <<