【JH437】日英同盟協約
■原典
・日本外交年表竝主要文書
■史料
第一条
両締約国ハ相互ニ清国及韓国ノ独立ヲ承認シタルヲ以テ、該二国孰レニ於テモ、全然侵略的趨向ニ制セラルルコトナキヲ声明ス。…大不列顚国(1)ニ取リテハ主トシテ清国ニ関シ、又日本国ニ取リテハ其ノ清国ニ於テ有スル利益ニ加フルニ韓国(2)ニ於テ政治上並ニ商業上及工業上格段ニ利益ヲ有スルヲ以テ、両締約国ハ若シ右等利益ニシテ別国ノ侵略的行動ニ因リ、…侵迫セラレタル場合ニハ、両締約国孰レモ該利益(3)ヲ擁護スル為メ、必要欠クベカラザル措置ヲ執リ得ベキコトヲ承認ス。
第二条
若シ日本国又ハ大不列顚国ノ一方ガ、上記各自ノ利益ヲ防護スル上ニ於テ、別国(4)ト戦端ヲ開クニ至リタル時ハ、他ノ一方ノ締約国ハ厳正中立ヲ守リ、併セテ其ノ同盟国ニ対シテ他国ガ交戦ニ加ハルヲ妨グルコトニ努ムベシ。
第三条
上記ノ場合ニ於テ、若シ他ノ一国又ハ数国ガ、該同盟国ニ対シテ交戦ニ加ハル時ハ、他ノ締約国ハ来リテ援助ヲ与ヘ、協同戦闘ニ当ルベシ。…
■注釈
(1)イギリスのこと。 (2)かつての朝鮮が1897年に国号を大韓帝国と改めた。 (3)イギリスは清国での利益、日本は清・韓両国における利益をそれぞれ指す。 (4)ここではロシアを指す。
■現代語訳
第一条
両締結国は互いに清国と韓国の独立を承認を以って、いずれの国においても侵略的趨向に至ることがないことを声明する。…イギリスにとっては主に清国に関して、また日本国にとっては清国における利益に加え、韓国において政治上、商業上及び工業上特別に利益を有することから、…侵略を受けた場合に、両締結国は互いにそれらの利益を擁護するために必要不可欠な措置を取り得ることを承認する。
第二条
もし日本国またはイギリスの一方が、上記の権益を擁護する上で第三国と戦争を行った場合は、他の一方の締結国は厳正中立を守り、加えてその同盟国に対し他国が戦争に参加するのを防止することに努める。
第三条
上記の場合において、もし他の一国または数国がその同盟国に対して参戦した場合には、他の締結国は戦地に軍を派遣して援助し、協力して戦争に対処する。