【JH436】治安警察法
■原典
・官報(明治33年3月10日付)
■史料
第五条
左ニ掲グル者ハ政事上ノ結社(1)ニ加入スルコトヲ得ズ。
一 現役及ビ召集中ノ予備後備ノ陸海軍軍人
二 警察官
三 神官神職僧侶其ノ他諸宗教師
四 官立 公立 私立学校ノ教員学生生徒
五 女子(2)
六 未成年者
七 公権剥奪及ビ停止中ノ者
女子及ビ未成年者ハ公衆ヲ会同スル政談集会ニ会同シ、若クハ其ノ発起人タルコトヲ得ズ…
第十七条
左ノ各号(3)ノ目的ヲ以テ他人ニ対シテ暴行、脅迫シ、若クハ公然誹毀(4)シ、又ハ第二号ノ目的ヲ以テ他人ヲ誘惑、若クハ煽動スルコトヲ得ズ。…
二 同盟解雇(5)若クハ同盟罷業(6)ヲ遂行スルガタメ、使用者ヲシテ労務者ヲ解雇セシメ、若クハ労務ニ従事スルノ申シ込ミヲ拒絶セシメ、又ハ労務者ヲシテ労務ヲ停廃セシメ、若クハ労務者トシテ雇傭スルノ申シ込ミヲ拒絶セシムルコト。…
■注釈
(1)「政治結社」のこと。内務大臣はその内容によって禁止する権限を有した。 (2)市川房枝・平塚らてうらはこの条文の改正を求めて新婦人協会として活動した。 (3)「労働組合の結成、ストライクの煽動、労働条件・賃上げの争議、小作争議」の項がある。 (4)「そしる、のの知る」の意。 (5)労働者の集団解雇のこと。 (6)ストライキのこと。
■現代語訳
第五条
左にあげる者が政治結社に加入することを禁止する。
※一〜七は省略
女性及び未成年者は政治集会に参加したり、またはその発起人となることはできない。
第十七条
左の各号で他人を暴行・脅迫し、あるいは公然と名誉を毀損し、または第二号の目的で他人を誘惑し、扇動してはならない。
二 労働者が集団で辞職したり、ストライキを行ったりするため使用者に労働者を解雇させ、あるいは労働に従事するよう言ったことを拒絶させ、または労働者に労働をやめさせ、或いは労働者として雇用する申し出を拒絶させること。