【JH428】大日本帝国憲法
■原典
・法令全書
■史料
第一条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇(1)之ヲ統治ス
第三条 天皇ハ神聖(2)ニシテ侵スヘカラス
第四条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬(3)シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
第五条 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
第八条 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令(4)ヲ発ス…
第十一条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス(5)
第十二条 天皇ハ陸海軍ノ編制及ビ常備兵額ヲ定ム
第十三条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及ビ諸般ノ条約ヲ締結ス
第二十条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス
第二十九条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行(6)集会及結社ノ自由ヲ有ス
第三十三条 帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ以テ成立ス
第五十五条 国務大臣ハ天皇ヲ輔弼(7)シ其ノ責ニ任ス
第七十条 公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需用アル場合二於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能ハザルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
第七十一条 帝国議会ニ於テ予算ヲ議定セズ又ハ予算成立ニ至ラザル時ハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ
■注釈
(1)天照大神の子孫であり、神代以来絶えることのない皇室の家系。 (2)皇室は神聖な権威を有するとされていた。 (3)「すべてを掌握する」の意。 (4)緊急勅令のこと。 (5)軍隊を指揮・命令する権限のことで、天皇の「統帥大権」という。 (6)出版・刊行のこと。 (7)たすけること。
■現代語訳
第一条 日本は万世一系の天皇が統治する。
第三条 天皇は神聖であり、侵してはならない。
第四条 天皇は元首で、統治権の全てを握る総覧者であり、憲法によって国を統治する。
第五条 天皇は帝国議会の協力・賛成によって立法権を行使する。
第八条 天皇は公共の安全保持のため、または災害を避けるため、緊急の必要が発生したときは、帝国議会閉会の場合、法律にかわる緊急勅令を出すことができる。
第十一条 天皇は陸海軍を指揮・統率する。
第十二条 天皇は陸海軍の編成と常備兵額を定める。
第十三条 天皇は宣戦や講和を行い、諸般の条約を締結する。
第二十条 国民は法律の定めるところにより兵役の義務を負う。
第二十九条 国民は法律の範囲内で言論・出版・集会・結社の自由を持つ。
第三十三条 帝国議会は貴族院・衆議院の両院から成立する。
第五十五条 国務大臣は天皇を補佐し、天皇に対して責任を負う。
第七十条 公共の安全を保持するため緊急の必要がある場合で、内外の事情によって帝国議会が招集できないとき、政府は勅令によって財政上の決定を行うことができる。
第七十一条 帝国議会で予算が決定しなかったり、不成立の場合、前年度の予算を施行する。