【JH414】学制序文(被仰出書)
■原典
・法令全書
■史料
人人自ラ其ノ身ヲ立テ、其ノ産ヲ治メ、其ノ業ヲ昌ニシテ、以テ其ノ生ヲ遂ル所以ノモノハ他ナシ、身ヲ脩メ、智ヲ開キ、才芸ヲ長ズルニヨルナリ。而テ其ノ身ヲ脩メ、智ヲ開キ、才芸ヲ長ズルハ、学ニアラザレバ能ハズ。
是レ学校ノ設アル所以ニシテ、日用常行・言語・書算ヲ初メ、士官・農商・百工技芸及ビ法律・政治・天文・医療等ニ至ル迄、凡ソ人ノ営ムトコロノ事、学アラザルハナシ。
…夫ノ道路ニ迷ヒ飢餓ニ陥リ家ヲ破リ身ヲ喪ノ徒ノ如キハ、畢竟不学ヨリシテ、カカル過チヲ生ズルナリ。…又、士人以上ノ稀ニ学ブ者モ動モスレバ国家ノ為ニスト唱ヘ、身ヲ立ルノ基タルヲ知ラズシテ…。
之ニ依テ、今般文部省ニ於テ学制ヲ定メ、追追教則ヲモ改正シ布告ニ及ブベキニツキ自今以後、一般ノ人民(華士族農工商及婦女子)必ズ邑ニ不学ノ戸ナク、家ニ不学ノ人ナカラシメン事ヲ期ス。
人ノ父兄タル者、宜シク此意ヲ体認シ、其ノ愛育ノ情ヲ厚クシ、其ノ子弟ヲシテ必ズ学ニ従事セシメザルベカラザルモノナリ。(高上ノ学ニ至テハ其ノ人ノ材能ニ任カスト雖ドモ幼童ノ子弟ハ男女ノ別ナク小学ニ従事セシメザルモノハ其ノ父兄ノ越度タルベキ事。)
学事奨励に関する太政官布告(被仰出書)
■注釈
注釈なし
■現代語訳
人々が自身の身を立て、生計の道を開いてその職を盛んにし、自分の人生を遂げることは、他でもなく身を修め、知識を広げ、才能技芸を伸ばすことで可能となる。それには学問が欠かせない。
学校を設立する理由はここにある。日頃の品行・言語・書算をはじめ、士官・農商…(中略)…天文・資料に至るまで人の営むところのこと全てが学問である。
(中略)
これにより、文部省において学制を定め、追々教則まで改正して布告に及ぶべきことである。以後、一般のすべての人民は、必ず村には不学の家がなく、家には不学の人がいないようにせよ。
父兄はよくこれを理解し、愛育の情を厚くして、その子弟には必ず教育を与えること。(高等教育についてはその人の才能次第であるが、幼い子弟は男女を問わず皆、小学校へ通学させなければならない。これは父兄の責任である。