【JH413】廃藩置県の詔
■原典
・法令全書
■史料
朕(1)惟フニ、更始ノ時(2)ニ際シ、内以テ億兆(3)ヲ保安シ、外以テ万国ト対峙セン(4)ト欲セバ、宜ク名実相副ヒ、政令一ニ帰セシムベシ。朕曩ニ諸藩版籍奉還ノ議ヲ聴納(5)シ、新ニ知藩事(6)ヲ命ジ、各其ノ職ヲ奉ゼシム。然ルニ数百年因襲ノ久シキ、或ハ其ノ名アリテ其ノ実挙ラザル者アリ。
何ヲ以テ億兆ヲ保安シ万国ト対峙スルヲ得ンヤ。朕深ク之ヲ慨ス。仍テ今更ニ藩ヲ廃シ県ト為ス。是レ務メテ冗ヲ去リ簡ニ就キ(7)、有名無実ノ弊ヲ除キ、政令多岐ノ憂無カラシメントス(8)。汝群臣其レ朕ガ意ヲ体セヨ。
■注釈
(1)天皇のこと。 (2)「改革の時」の意味で、ここでは明治維新をさす。 (3)国民のこと。 (4)「対等に接する」の意。 (5)「許可する」の意。 (6)藩主が知藩事に任命された。 (7)無駄を省き、簡素化すること。 (8)「中央集権を強化する」の意。
■現代語訳
朕(明治天皇)が思うには一大改革の時期にあたり、国民の安全を守り、列国と対応に接するならば名実ともに法令の出所は一つに統一しなければならない。朕は版籍奉還を受け入れ、新たに知藩事を任命し、それぞれの職に就かせた。しかし、数百年来の因襲のため、版籍奉還が名ばかりで実質が伴っていないところがある。
これでは国民の安全を守ることも、列国と対等に向き合うこともできない。朕はこれを大変嘆かわしく思う。そこで今度は藩を廃止して県を置くこととする。これはつとめて政治の無駄をなくして簡素化し、有名無実の弊害をなくし、政策や法令が多方面から出される弊害を無くそうとするものである。臣下のものは朕の意思に沿って実行するようこと。