【JH412】版籍奉還( 薩長土肥四藩主の上表)
■原典
・法令全書
■史料
抑モ臣等(1)居ル所ハ、即チ天子(2)ノ土、臣等牧スル所ハ、即チ天子ノ民ナリ。安ンゾ私ニ有スベケンヤ。
今謹ミテ其ノ版籍ヲ収メテ之ヲ上ル。願ハクハ朝廷其ノ宜ニ処シ、其ノ与フベキハ之ヲ与ヘ、其ノ奪フベキハコレヲ奪ヒ、凡ソ列藩ノ封土更ニ宜シク詔命ヲ下シ、コレヲ改メ定ムベシ。
而シテ制度典型軍旅ノ政ヨリ、戎服器械ノ制ニ至ルマデ、悉ク朝廷ヨリ出テ、天下ノ事、大小トナク皆一ニ帰セシムベシ。…
■注釈
(1)家臣全般を指す。ここでは天皇以下の藩主及びその家臣ら全体のこと。 (2)天皇のこと。
■現代語訳
そもそも、家臣らがいるところは天皇の土地であり、治めている家臣らは天皇の臣民である。どうして私有することができるのだろうか。
今、謹んで土地と人民を奉還する。朝廷が適宜措置して与えるべきものには与え、没収すべきは没収し、諸藩の領地については天皇の命令で決定すべきである。
さらに、制度・法律・軍事制度から軍服・兵器の制度まで全て朝廷で定め、天下の政治は大小となく朝廷によって一元化されるべきである。…