【JH410】五榜の掲示
■原典
・明治政史
■史料
第一榜 一曰 五倫ノ道(1)ヲ正フスヘシ。
二曰 鰥寡孤独癈疾ノ者(2)ヲ憫ムヘシ。
三曰 人ヲ殺シ家ヲ焼キ財ヲ盗ム等ノ事ヲ為ス勿レ。
第二榜 曰党ヲ樹テ強訴シ或ハ相率テ田里ヲ去ル(3)コト勿レ。
第三榜 曰切支丹邪宗門ハ旧ニ仍リテ之ヲ厳禁ス。
以上三榜永世の定法とす
第四榜 外国人ニ対シテ暴行ヲ為スヲ禁ス。
第五榜 逋逃(4)ヲ禁ス。
以上二榜一時の掲示とす
■注釈
(1)儒教における君臣、父子、夫婦、長幼、友人の間でそれぞれ守るべき5つの道徳を指す。 (2)「妻を亡くした人」、「夫を亡くした人」、「親を亡くした人」、「子を亡くした人」、「体の不自由な人」、「病人」のこと。 (3)「逃散(逃げ去る)」のこと。 (4)「流浪」や「本国を脱走する」こと。
■現代語訳
第一榜 一に曰(い)わく 五倫の道を正しく行わなければならない。
二に日(い)わく 妻を亡くした夫、親や子を亡くした人、障害者や病人を憐れむこと。
三に日(い)わく 人を殺し、家を焼き財を盗む等の悪行あるまじきこと。
第二榜 徒党を組んで強訴したり、逃散してはならない。
第三榜 キリスト教はこれまで通り厳禁とする。
第四榜 外国人に対して暴行することを禁じる。
第五榜 流浪・本国脱走を禁ずる。