2021.12.09

【JH410】五榜の掲示

■原典

・明治政史




■史料

 

 第一榜 一曰 五倫ノ道(1)ヲ正フスヘシ。

     二曰 鰥寡孤独癈疾ノ者(2)ヲ憫ムヘシ。

     三曰 人ヲ殺シ家ヲ焼キ財ヲ盗ム等ノ事ヲ為ス勿レ。

 第二榜 曰党ヲ樹テ強訴シ或ハ相率テ田里ヲ去ル(3)コト勿レ。

 第三榜 曰切支丹邪宗門ハ旧ニ仍リテ之ヲ厳禁ス。

  以上三榜永世の定法とす

 第四榜 外国人ニ対シテ暴行ヲ為スヲ禁ス。

 第五榜 逋逃(4)ヲ禁ス。

  以上二榜一時の掲示とす




■注釈

(1)儒教における君臣、父子、夫婦、長幼、友人の間でそれぞれ守るべき5つの道徳を指す。  (2)「妻を亡くした人」、「夫を亡くした人」、「親を亡くした人」、「子を亡くした人」、「体の不自由な人」、「病人」のこと。  (3)「逃散(逃げ去る)」のこと。  (4)「流浪」や「本国を脱走する」こと。




■現代語訳

 

 第一榜 一に曰(い)わく 五倫の道を正しく行わなければならない。

     二に日(い)わく 妻を亡くした夫、親や子を亡くした人、障害者や病人を憐れむこと。

     三に日(い)わく 人を殺し、家を焼き財を盗む等の悪行あるまじきこと。

 第二榜 徒党を組んで強訴したり、逃散してはならない。

 第三榜 キリスト教はこれまで通り厳禁とする。

 第四榜 外国人に対して暴行することを禁じる。

 第五榜 流浪・本国脱走を禁ずる。




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