2021.12.09

【JH408】王政復古の大号令

■原典

・維新史




■史料

 

 徳川内府(1)、従前御委任ノ大政返上、将軍職辞退ノ両条、今般断然聞シ食サレ候。抑(そもそも)癸丑(2)以来、未曽有ノ国難、先帝(3)頻年宸襟ヲ悩マサレ候御次第、衆庶ノ知ル所ニ候。

 

 之ニ依テ叡慮ヲ決セラレ、王政復古、国威挽回ノ御基立テサセラレ候間、今ヨリ摂関・幕府等廃絶シ、即チ今先ズ仮ニ、総裁(4)・議定(5)・参与(6)ノ三職ヲ置レ、万機(7)行ハセラルベシ。

 

 諸事神武創業ノ始ニ原ヅキ、縉紳(8)・武弁・堂上・地下(9)ノ別ナク、至当ノ公議ヲ竭シ、天下ト休戚(10)ヲ同ジク遊バサルベキ叡念ニ付キ、各勉励シ旧来ノ驕惰ノ汚習ヲ洗ヒ、尽忠報国ノ誠ヲ以テ奉公致スベク候事。




■注釈

(1)内府は内大臣で、慶喜をさす。  (2)ペリー来航の年をさす。  (3)孝明天皇のこと。  (4)有栖川宮熾仁を任命した。  (5)皇族、苦行、藩主10名を指名した。  (6)岩倉具視、西郷隆盛、大久保利通、後藤象二郎、福岡孝弟らを任命した。  (7)「天下の政治」の意。  (8)公家と武家をさす。(9)昇殿できる五位以上の公家(堂上)と昇殿できない六位以下の公家(地下)のこと。  (10)「喜びと悲しみ」の意。




■現代語訳

 

 徳川慶喜の大政奉還と将軍職辞退の件を、朝廷はこの度許可された。1853年以来大変な国難で、孝明天皇が毎年ご心配されていたことは皆も知るところである。

 

 そのため、明治天皇は決断を下され、王政復古・国威挽回の基礎を築かれたので、摂政・関白・幕府を廃止し、仮に総裁・議定・参与の三職を置いて政治を行うこととした。

 

神武天皇の創業の頃に戻り、公家・武家・堂上・地下の区別なく、正しい議論を尽くし、人々と喜びや悲しみを分かち合おうという天皇のお考えである。それぞれ努力して、今までのおごり怠けた悪い習慣をやめ、尽忠報国の精神で奉公すること。




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