2024.09.06

【JH406】五品江戸廻送令

■原典

・続徳川実紀

 




■史料

 

神奈川(1)御開港、外国貿易仰せ出され候に付、諸商人共一己之利得に泥(なず)み(2)、競而相場糶上げ(せりあげ)(3)、荷元を買受け、直に御開港場所江相廻し候に付、御府内(4)入津之荷物相減じ、諸色払底(5)に相成、難儀致し候趣相聞こえ候に付、当分之内左之通仰せ出され候。

 

 一、雑穀

 一、水油(6)

 一、蝋

 一、呉服

 一、糸

  

 右之品々に限り、貿易荷物之分者、都而(すべて)御府内より相廻し(7)候筈に候間、在在より決而(けっして)神奈川表江(8)積出し申す間敷く候。

 




■注釈

(1)「横浜」を指す。  (2)「自分の利益だけを考えて」の意。  (3)値段を釣り上げること。  (4)江戸のこと。  (5)「品物不足になる」の意。  (6)菜種油のこと。  (7)江戸経由で出荷すること。  (8)地方の生産物を直接横浜へ送ること。




■現代語訳

 

神奈川が開港して外国との貿易が始まった。商人らは自分の利益だけを考え、競い合って高い値段で品物を買い取り、神奈川へ直接送り込んでいる。これにより、江戸では品不足が起こり、色々な物が足りなくなって困っていると聞く。しばらくの間、次のように取り行う。

 雑穀、水油、蝋、呉服、糸

 これらを輸出する場には、全て江戸経由で出荷することとする。生産地から直接神奈川へ移送してはならない。

 




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