【JH403】日米和親条約(神奈川条約)
■原典
・幕末外国関係文書
■史料
第一ヶ条 日本と合衆国とハ、其の人民永世不朽の和親を取り結び、場所人柄の差別これ無き事。
第二ヶ条 伊豆下田、松前地(1)箱館(2)の両港ハ、日本政府ニ於て亜墨利加船、薪水・食料・石炭、欠乏の品を、日本にて調い(3)候だけハ給し候たメ、渡来の儀差し免し候。尤も下田港は約条書面調印の上、即時にも相開き、箱館ハ来年三月より相始め候事。…
第三ヶ条 合衆国の船、日本海浜漂着の時扶助いたし、其の漂民を下田又は箱館に護送して本国の者受け取り申すべし。
第九ヶ条 日本政府、外国人え当節、亜墨利加人え差し免さず候かど相免し候節ハ、亜墨利加人えも同様差し免し申すべく、右に付き談判猶予致さず候事。
第十一ヶ条 両国政府に於て拠無き儀(4)之有り候模様ニより、合衆国官吏のもの下田に差し置き候儀も之有るべく、尤も約定調印より十八ヶ月後ニこれ無く候てハ其の儀に及ばず候事。
■注釈
(1)松前藩のこと。 (2)函館のこと。1869年に函館に改称された。 (3)「用意する」の意。 (4)「止むを得ない事情」の意。
■現代語訳
第一ヶ条 日本とアメリカは恒久的な和親を取り結び、場所や人柄に関して差別しないこと。
第二ヶ条 下田と箱館の両港は開港してアメリカ船が必要とする燃料・食糧などを日本が用意できる範囲で供給するため、来航を許可する。
第三ヶ条 アメリカの船が日本の海岸に漂着した時は助け、漂流民を下田か箱館に護送してアメリカの者に引き渡す。
第九ヶ条 日本政府はアメリカ人以外の外国人に対し、アメリカ人に許可していない権利を認める場合はアメリカ人に対しても同様に許可しなければならない。このことは外交交渉によらず実施する。
第十一ヶ条 両国のどちらも止むを得ない事情があるので、下田にアメリカ人の役人を駐在させることができる。尤も、約定調印(締結日)から18ヶ月経った場合には、アメリカ政府は下田に領事を置くことができる。