2022.04.07

【JH130】延久の荘園整理令

■原典

・百錬抄

・愚管抄




■史料

①延久の荘園整理令

 (延久元年)寛徳二年以後の新立荘園を停止すべし。たといかの年以往(1)といえども、立券(2)分明ならず、国務に妨げる有るにおいては、おなじく停止するの由宣下す。…

 始めて記録庄園券契所を置く。寄人(3)等を定む。


②記録荘園券契所

 延久ノ記録書トテハジメテヲカレタリケルハ、諸国七道ノ所領ノ宣旨(4) 官符(5)モナクテ公田(6)ヲカスムル(7)事、一天四海ノ巨害ナリトキコシメシツメテテアリケルハ、スナハチ宇治殿(8)ノ時、一ノ所(9)ノ御陵御陵トノミ云テ、庄園諸国ニミチテ受領ノツトメタヘガタシナド云ウ、キコシメシモチタリケルニコソ(10)。サテ宣旨ヲ下サレテ、諸人領知ノ庄園ノ文書ヲメサレケルニ、宇治殿へ仰ラレタリケル御返事ニ、「皆サ心エラレタリケルニヤ。五十余年君ノ御ウシロミ(11)ヲツカウマツリテ候シ間、所領モチテ候者ノ強縁(12)ニセンナド思ヒツツヨセタビ(13)候ヒシカバ、サニコソナンド(14)申タルバカリニテマカリスギ候キ。ナンデウ文書カハ候ベキ。…」ト、サハヤカニ申サレタリケレバ、アダニ御支度相違ノ事ニテ、ムゴニ御案アリテ、別ニ宣旨ヲ下サリテ、コノ記録所ヘ文書ドモメスコトニハ、前太相国(15)ノ領ヲバノゾクト云 宣下(16)アリテ、中々ツヤツヤト御沙汰ナカリケリ。


■注釈

(1)「以前」の意。  (2)荘園として認められるための証拠となる書類のこと。  (3)「職員」の意。

(4)天皇の命令を伝える文書のこと。  (5)太政官が下す文書のこと。  (6)公領のこと。

(7)「横領する」の意。  (8)藤原頼通のこと。  (9)摂関家のこと。  

(10)「お聞きになっていた」の意。  (11)後見役のこと。

(12)「無理矢理に庇護を受けること」の意。  (13)「寄進」の意。

(14)「そうかと言って受け取ってきた」の意。  (15)前太政大臣頼通のこと。

(16)宣旨を下すこと。


■現代語訳(口語訳)

①延久の荘園整理令

 1069年、1045年以後成立した荘園は停止する。たとえそれ以前に成立した荘園でも証拠書類がなく、国務の妨げとなる荘園については停止する旨の天皇の命令が下された。記録荘園券契所を設置し、職員を任命した。


②記録荘園券契所




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