【JH117】浮浪の増加
■原典
・続日本紀
■史料
(養老元年)五月丙辰、詔して曰く、「率土の百姓(1)、四方に浮浪して、課役(2)を規避し、遂に王臣に仕へて、或は資人(3)を望み、或は得度(4)を求む。王臣本属を経ず、私に自ら駈使して、国郡に嘱請(5)して、遂に其の志を成す」…
■注釈
(1)国中の班田農民のこと。 (2)人頭税(庸・調・雑徭)の総称のこと。
(3)位冠や官職に応じて配属され、調・庸は免除される。 (4)「出家」の意。 (5)頼み請うこと。
■現代語訳(口語訳)
717年、詔が出された。「班田の中には、本籍を離れて浮浪し、調・庸などを納入せず、王族や上級官吏の資人になることや出家を望むものがいる。上級の官吏は本籍に知らせず、自分勝手に彼らを使い、国や郡に頼みこんで、思いのままに使っている。」…