【JH106】稲荷山古墳出土鉄剣銘
■原典
・稲荷山古墳出土鉄剣銘
■史料
① 表
辛亥年七月中記す。乎獲居臣、上祖の名は意富比垝、其の児多加利足尼、其児名は弖已加利獲居、其の児名は多加披次獲居、其の児名は多沙鬼獲居、其の児名は半弖比、
② 裏
其の児名は加差披余、其の児名は乎獲居臣、世々杖刀人の首(1)と為り、奉事し来り今に至る。獲加多支鹵大王の寺(2)、斯鬼宮に在る時、吾、天下を左治し、此の百練の利刀を作らしめ、吾が奉事せる根原を記す也。
■注釈
(1)大王の親衛隊の隊長 (2)朝廷
■現代語訳(口語訳)
その子の名はカサヒヨ、その子の名はヲワケの臣。私の一族は、代々、大王の親衛隊長となり大王に仕えて今に至る。雄略天皇の朝廷が、シキの官にある時、私は大王の統治を補佐した。この100回鍛えた名刀をつくらせて、私が大王に仕えてきた由来を記しておく。