【JH445】社会民主党の宣言 〔「万朝報」〕
■原典
・万朝報(1904(明治三十四)年)
■史料
如何にして貧富の懸隔(1)を打破すべきかは、実に二十世紀におけるの大問題なりとす。かの十八世紀の末に当たり仏国を中心として欧米諸国に伝播したる自由民権の思想は、政治上の平等主義を実現するにおいて大なる効力ありしといえども、爾来物質的の進歩著しく、昔時の貴族平民てふ階級制度に代ふるに富者貧者てふ,さらに忌むべき恐るべきものをもってするに至れり。そもそも経済上の平等は本にして政治上の平等は末なり。
…経済上の不公平にして除去せられざる限りは人民多数の不幸は依然として存すべし。これ我が党が政治問題を解するに当たり全力を経済問題に傾注せんとするゆえんなり。…
■注釈
(1)「かけはなれている」の意。
■現代語訳
如何にして貧富の懸隔を打破すべきかは、実に二十世紀におけるの大問題なりとす。いかにして貧富の差を改善するかは、実に二十世紀の大きな問題である。十八世紀末フランスから欧米に広まった自由民権思想は、政治上の平等主義を実現するのに非常に有効であったが、以来物質的な進歩が著しく、昔の貴族・平民という階級制度に代わって、貧富というさらに恐ろしいものが現れた。本来、経済上の平等が主で政治上の平等は従である。
経済上の不公平がある限り、多くの国民の不幸はなくならない。これが我が党が政治問題へ取り組むにあたって経済問題に全力を注ぐ所以である。…