【JH423】漸次立憲政体樹立の詔
■原典
・法令全書
■史料
朕(1)即位ノ初、首トシテ群臣ヲ会シ五事(2)ヲ以テ神明ニ誓ヒ、国是ヲ定メ万民保全ノ道ヲ求ム。幸ニ祖宗ノ霊ト群臣ノ力トニ頼リ以テ今日ノ小康(3)ヲ得タリ。…
朕今、誓文ノ意ヲ拡充シ、茲ニ元老院ヲ設ケ、以テ立法ノ源ヲ広メ、大審院ヲ置キ、以テ審判ノ権ヲ鞏クシ、又地方官ヲ召集シ、以テ民情ヲ通ジ公益ヲ図リ、漸次ニ国家立憲ノ政体ヲ立テ、汝衆庶ト倶ニ其ノ慶ニ頼ント欲ス。
汝衆庶、或ハ旧ニ泥ミ故ニ慣ルルコト莫ク、又或ハ進ムニ軽ク為スニ急ナルコト莫ク、其レ能朕ガ旨ヲ体シテ翼賛スル(3)所アレ。
■注釈
(1)明治天皇のこと。 (2)五箇条の誓文のこと。 (3)「落ち着く」の意。 (4)「補佐する」の意。
■現代語訳
私(明治天皇)は初めに群臣を集め、五箇条の誓文を神々に誓い、国是を定めて万民保全の道を求めた。幸い、先祖の霊と群臣の力により、今日の平穏を得た。…
私は今、五箇条の誓文の趣旨を拡充し、ここに元老院を設けて立法の根源を広め、大審院を置いて審判の権限を強固にし、また地方官を招集して民情に通じて公益を図り、漸次に国家立憲の政体をたてて皆と共に喜びを受けたいところである。
皆も旧い慣例にこだわったり慣れたりのではなく、あるいは急進することもなく、よくよく私の主旨を体得して力を添え、助けるようにすること。