2021.12.09

【JH415】徴兵告諭

■原典

・法令全書




■史料

 …太政維新、列藩版図ヲ奉還(1)シ、辛未ノ歳ニ及ビ、遠ク郡県ノ古ニ復ス(2)。世襲坐食(3)ノ士ハ、其の禄ヲ減ジ、刀剣ヲ脱スルヲ許シ(4)、四民漸ク自由ノ権ヲセシメントス。

…凡ソ天地ノ間、一事一物トシテ税アラザルハナシ。以テ国用ニ充ツ。然ラバ則チ人タルモノ、固ヨリ心力ヲ尽シ、国ニ報ゼザルベカラズ。西人(5)之ヲ称シテ血税(6)ト云フ。其ノ生血ヲ以テ、国ニ報ズルノ謂ナリ。

…西洋諸国数百年来、研究実践、以テ兵制ヲ定ム。

…故ニ今其ノ長ズル所ヲ取リ、古昔ノ軍制ヲ補ヒ、海陸二軍ヲ備ヘ、全国四民、男児二十歳ニ至ル者ハ、尽ク兵籍ニ編入シ、以テ緩急ノ用ニ備フベシ。…




■注釈

(1)版籍奉還のこと。  (2)廃藩置県のこと。  (3)働くことなく暮らすこと。  (4)脱刀許可のこと。  (5)西洋人のこと。  (6)兵士として国家のために尽くす(身を捧げる)こと。




■現代語訳

…明治維新によって版籍奉還、さらに廃藩置県となった。世襲で働かずに生活する士族の俸禄を減らして、脱刀を許可することて華族・士族・平民の別なく自由の権利を得ることができる。

 

 この世のものには全て税がかかっており、その税を以て国の費用に充てている。従って、人は心と力を尽くして国に奉仕すべきである。西洋人はこれを血税と呼んでいる。自らの血をもって国に報いるという意味である。

 

 西洋諸国は数百年来、研究実践を積み重ね、兵制を定めてきた。

 そこで我が国も西洋の長所を取り入れ、古来の軍制を補い、海陸二軍を設置し、全国の国民で二十歳になったものは全て兵籍に編入し、平時の治安維持や内乱・戦争などの非常時に備えるべきである。…

 




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