2024.11.12

【JH433】福沢諭吉の脱亜論

■原典

・福沢諭吉全集 /  「時事新報」社説(明治18年3月16日付)




■史料

 

 我が日本の国土は東辺(1)に在りと雖も、其の国民の精神は既に亜細亜の固陋(2)を脱して西洋の文明に移りたり。

 …されば今日の謀(3)を為すに、我が国は隣国の開明を待て共に亜細亜を興すの猶予ある可らず、寧ろ其の伍(4)を脱して西洋の文明国と進退を共にし、其の支那朝鮮に接するの法も隣国なるが故にとて特別の会釈(5)に及ばず、正に西洋人が之に接するの風に従て処分す可きのみ。悪友を親しむ者は共に悪名を免かる可らず。我は心において亜細亜東方の悪友を謝絶(6)するものなり。




■注釈

(1)東の端、極東をさす。  (2)「頑な」の意。  (3)「西洋の文明国からの独立」のこと。  (4)「仲間」の意。  (5)「思いやり」の意。  (6)「朝鮮や清国との国交を断つ」の意。




■現代語訳

 

 日本の国土はアジアの東にあるが、其の国民の精神はすでにアジアの見識の狭さから脱却し、西洋の文明に移っている。…

 

 現在の日本を発展させるには隣国の開明を待って共同してアジアを進歩させる余裕はない。それよりもアジアの仲間から抜けて西洋の文明国と共に行動し、西洋の中国・朝鮮に対処する方法も、隣国であるからといって特別の思いやりをかける必要はなく、ヨーロッパ人と同様のやり方で対処していくべきである。悪友と親しく付き合うものは其の悪名を免れることはできない。日本は心してアジアの悪友と絶交すべきである。 




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