2024.11.12

【JH431】黒田清隆の超然主義演説

■原典

・明治政史




■史料

 

 今般、憲法発布式を挙行ありて、第日本帝国憲法及之に付随する諸法令(1)を交付せられたり。…唯施政上の意見は人々其の所説を異にし、其の合同する者相殺して団結をなし所謂政党なる者の社会に存立するは亦情勢の免れざる所なり。

 

 然れども政府は常に一定の方向を取り、超然として政党の外に立ち、至公至正(2)の道に居ざる可らず。各員(3)宜しく意を之に留め、不偏不党(4)の心を以て人民に臨み、撫馭宜きを得、以て国家隆盛の治を助けん事を勉むべきなり。

 




■注釈

(1)衆議院議員選挙法・貴族院令をさす。  (2)「この上なく公正な」の意。  (3)各府県知事のこと。  (4)「政府の政策は政党の意向に左右されない」の意。




■現代語訳

 

 今度憲法の発布式を執り行い、第日本帝国憲法やそれに関連する法令などが公布された。政策上の意見は人によって様々であり、意見が一致する人が団結する、いわゆる政党が存在することは情勢の避けられないことである。

 しかし、政府は常に一定の方向をとり、超然として政党の外にたち、公正な立場を貫くべきである。それぞれここに留意し、政党の意向に左右されることなく、人民に対しよくこれを統制し、そして各府県知事もこの方針で臨んで国家隆盛の助けとすべきである。

 




← 前の投稿に戻る

 

   

次の投稿に進む →

   

   

>> 一覧に戻る <<