・主要条約集
・日本外交主要文書・年表
旧安保条約(日米安全保障条約)1951(昭和26)年9月8日調印
第一条
平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、雨イカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。この軍隊は、極東における国際平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起こされた日本国における大規模の内乱及び騒じようを鎮圧する(1)ため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部から武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。
第三条
アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定(2)で決定する。
(1)アメリカに日本の内政への介入を認めている。 (2)1952年2月に調印した。アメリカは日本国内に基地をおき、日本は駐軍費用を分担することになった。
・『昭和三十一年度 経済白書』
いまや経済の回復による浮揚力はほぼ使い尽くされた。なるほど、貧乏な日本のこと故、世界の他の国々にくらべれば、消費や投資の潜在需要はまだ高いかもしれないが、戦後の一時期にくらべれば、その欲望の熾烈さは明らかに減少した。もはや「戦後」ではない(1)。
われわれはいまや異つた事態に当面しようとしている。回復を通じての成長は終つた。今後の成長は近代化によつて支えられる。そして近代化の進歩も速やかにしてかつ安定的な経済の成長によって初めて可能となるのである。
(1)鉄工業生産指数において、1951年に戦前の水準を回復。のち1956年には戦前の最高水準を大きく上回り、史上最高となった。
・日本外交主要文書・年表
・官報号外(昭和四十年十二月十八日)
第一条
両締約国間に外交及び領事関係が開設(1)される。両締約国は、大使の資格を有する外交使節を遅滞なく交換するものとする。また、両締約国は、両国政府により合意される場所に領事館を設置する。
第二条
千九百年八月二十二日(2)以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される。
第三条
大韓民国政府は、国際連合総会決議百九十五号(Ⅲ)(3)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される(4)。
(1)外交官と領事が設置された。 (2)韓国併合条約の調印日を指す。 (3)1948年12月12日の決議を指す。韓国政府の施政地域を北緯38度以南とし、それ以北の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の存在を暗に示している。 (4)韓国を朝鮮における唯一の合法政府と認めたため、結果として北朝鮮との外交を確立する道を閉ざす形となった。
・主要条約集
・日本外交主要文書・年表
第三条
締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規律に従うことを条件として発展させる(1)。
第四条
締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東(2)における国際の平和及び安全に対する脅威が生じた時はいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規律及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。…
第六条
日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍、及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。…
第十条
…この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意見を通告することができ、…そのような通告が行われた後一年で終了する。
(1)日米の軍事同盟の取り決めで、これによって日本も防衛責任を負った。 (2)当時、日本政府はこの「極東」の範囲をフィリピン以北、中国の一部、沿海州とした。
・日本外交主要文書・年表
第一条
アメリカ合衆国は…琉球諸島及び大東諸島に関し、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第三条の規定(1)に基づくすべての権利及び利権を、この協定の効力発生の日(2)から日本国のために放棄する。
…日本国は、同日に、これらの諸島の領域および住民に対する行政、立法及び司法上の全ての権力を行使するための完全な権能及び責任を引き受ける。
(1)サンフランシスコ平和条約第三条で、沖縄はアメリカの施政権のもとにおかれた。 (2)1972年5月15日を指す。
・わが外交の近況
・日本外交主要文書
日本側は、過去において日本国が戦争を通じ中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。また、日本側は中華人民共和国政府が提起した「復交三原則(1)」を十分に理解する立場に立って国交正常化の実現をはかるという見解を再確認する。中国側は、これを歓迎するものである。…
一、日本国と中国人民共和国との間のこれまでの不正常な状態(2)は…終了する。
二、日本国政府は、中華人民共和国が中国唯一の合法政府であることを承認(3)する。
三、中華人民共和国政府は、…ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
五、中華人民共和国は、…戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。
七、日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権(4)を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとするほかのいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。
(1)「中華人民共和国が唯一の合法政府であること」「台湾は中華人民共和国の領土であること」「日華平和条約の廃棄」のことを指す。 (2)戦争終結は日華平和条約で解決済みとする日本の主張で、このような表現となった。(3)「1つの中国、1つの台湾」を否定し、台湾の中華民国政府と断交した。 (4)他国・他民族を支配しようとする外交政策。
・外交青書
一、…二千二年十月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。…
二、双方は、国交正常化を実現するにあたっては、千九百四十五年八月十五日(1)以前に生じた事由に基づく両国及びその国民の全てのの財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体化することとした。…
三、…日本国民の生命と安全に関わる懸案問題(2)については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中(3)で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置を取ることを確認した。
(1)太平洋戦争が終結した日。 (2)日本人拉致問題を指す。 (3)国交が樹立していない状態