【JH506】二十一ヵ条の要求
■原典
・日本外交年表竝主要文書
■史料
第一号〔山東省のドイツ権益の継承に関する件…四ヵ条〕
第一条
支那国政府ハ、独逸国ガ山東省ニ関シ条約其ノ他ニ依リ支那国ニ対シテ有スル一切ノ権利(1)・利益・譲与等ノ処分ニ付キ、日本国政府ガ独逸国政府ト協定スベキ一切ノ事項ヲ承認スベキコトヲ約ス
第二号〔南満州及び東部内蒙古の権益に関する件…七ヵ条修正案で九ヵ条となる〕
第一条
両締約国ハ、旅順・大連租借(2)期限並ビニ南満州(3)及ビ安奉両鉄道(4)各期限ヲ何レモ更ニ九十九ケ年ヅツ延長スベキコトヲ約ス
第三号〔漢冶萍公司(5)を日中合弁事業(6)にする件…二ヵ条修正案で一ヵ条となる〕
第一条
両締約国ハ、将来適当ノ時機ニ於テ、漢冶萍公司ヲ両国ノ合弁トナスコト…。
第五号〔懸案その他解決に関する件〕
一、中央政府ニ政治・財政及び軍事顧問トシテ有力ナル日本人ヲ傭兵セシムルコト。
■注釈
(1)ドイツが獲得していた膠州湾での権益を指す。青島の租借権、鉄道敷設権、鉱山採掘権などのこと。 (2)他国の領土の一部を一定期間に限り借りること。 (3)大連・長州間を指す。 (4)安東・奉天間を指す。 (5)漢陽製鉄所と大冶鉄山、萍郷炭鉱の三企業が合併して発足した製鉄会社のこと。 (6)共同で経営する事業を指す。
■現代語訳
第一号
第一条
中華民国政府はドイツが山東省に関して、条約その他で中華民国に対して所有する一切の権利・利益・譲与などの処分について、日本がドイツと協定するすべての事項を承認する。
第二号
第一条
両締約国は、旅順・大連、南満州鉄道・安奉鉄道の租借期限を各九十九年ずつ延長することを約束する。
第三号
第一条
両締結国は、将来適当な時期に、漢冶萍公司を日中共同経営にすることを約束する。
第五号
一、中央政府に政治・財務及び軍事顧問として有力な日本人を雇うこと。