【JH504】第一次世界大戦への参戦
■原典
・『加藤高明』
■史料
加藤高明外相の発言(日本参戦の理由)
斯かる次第で、日本は今日、同盟条約(1)の義務に依つて参戦せねばならぬ立場には居ない。条文の規定が、日本の参戦を命令するやうな事態は、今日の所では未だ発生しては居ない。
…ただ、一は、英国からの依頼(2)に基く同盟の情誼(3)と、一は、帝国が此の機会に独逸の根拠地(4)を東洋から一掃して、国際上に一段と地位を高めるの利益と、この二点から参戦を断行するのが機宜(5)の良策と信ずる。…
■注釈
(1)第三次日英同盟協約を指す。 (2)1914年8月7日イギリス駐日大使がドイツの武装商船撃破のため、日本の対ドイツ参戦を要請してきた。 (3)「よしみ、友好関係」の意。 (4)中国の山東半島膠州湾と南洋諸島を指す。 (5)「時宜を得た、良い機会」の意。
■現代語訳
このような理由で、日本は現在、日英同盟の義務によって参戦しなくてはならない立場にはない。
…ただ一つはイギリスからの要請にもとづく同盟のよしみと、一つは日本がこの機会にドイツの根拠地を東洋から一掃して、国際的地位を一段と高める利益と、この二点から参戦を断行することが時宜を得た(時期に適した)良策であると考える。